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北米三国 マイマイガ規制強化
- 2015/11/9
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北米三国 マイマイガ規制強化
北米三国 マイマイガ規制強化で船舶検査に加えて、積荷検査も要求 規制強化案では日本の全ての港が対象になる
International Standards for Phytosanitary Measures ISPM REPORT No.08‐11
米国・カナダ・メキシコの3カ国検疫当局 (NAPPO North American Plant Protection Organization)では、2007年6月からアジア地域に生息するマイマイガ(AGM Asian Gypsy Moth)の侵入を防ぐため、日本の特定港湾(大分、広島、阪南、酒田、八戸、函館)にAGMの夏場の産卵期に寄港する船舶の害虫不在証明検査を要求している。
APPOでは現在、この規制の強化案ドラフトを策定し、10月3日締め切りで関係国に意見を求めている。規制強化案、RSPM No.33 “AGM発生地域からの船舶および積載貨物の移動規制に関するガイドラインによれば日本・ロシア・韓国・モンゴル・中国を含む温帯アジアの全ての港が対象となる。(AGMが不在であれば適用除外地域となるが、不在地域-Pest Free Area-の認定は農水省担当官の説明では、日本の港周辺の樹木を全て伐採でもしない限り、ほぼ不可能とのこと。)現行規則では船舶の検査のみだが、規制強化案では積載貨物検査も要求され、植物検疫証明書による不在証明を要求している。
このような状況下、9月1日に経済産業省流通・物流政策室主催により農林水産省植物防疫課担当官による説明会が開催された。規制強化案では貨物検査も要求されることから、日本から北米に向ける貨物のサプライチェーンに重大な影響を与えるとして、経団連・自動車工業会・日本鉄鋼連盟・機械輸出組合・日本貿易会・電子情報技術産業協会などが参加して、説明を受けるとともに意見を求められたものである。
ただし、①NAPPO要求の輸出国での貨物検査をどの時点でどのように行うべきか、②誰に対してこの証明書を発給すべきか、また、③証明書は米国・カナダ・メキシコでの輸入通関時に提出すべき書類なのかなど、米国の担当官と懇談を持った農水省の担当官も説明できない部分が多々ある。さらに、④コンテナ貨物の場合、貨物検査とはコンテナの外部検査か、コンテナ内の梱包検査か、梱包内の品物検査か なども定かでない。
まずは、これらの諸点を明確にしてからでないと、規制強化案が業界に対してどのような影響を与えるものかにつき、正しい評価はできない。規制強化案では証明書のない船舶は北米三国の港で入港拒否にあう可能性があり、また、文書による証明書の提示があるまでは三国からの退去命令を受ける可能性もある。
筆者が規制強化案を読む限り、貨物検査とは本船に積み込んだあとに検査するもので、証明書は船会社ないし本船に対して発行することを想定しており、個別の貨物の荷主に、インボイス単位やB/L単位で発行するものではないと見受けられる。まずは、本件につき第一報として皆様に報告する。